民主党青年委員会が主催する「民主党大学2015」第2回が15日、奈良県で「美味しい奈良を食べに来ませんか」と銘打って地域の食と農をテーマに開催された。

 奈良県では以前から「奈良にはうまいもんなし」という言葉があり、農業や飲食業、観光に携わる人々の間で、それを払拭しようと、行政・民間を問わず、さ まざまな取り組みが始まっている。今回の内容は、食と農を切り口に、農業や観光、地域社会づくりなどを考える機会にしようと、党近畿ブロックと奈良県連の 青年委員会地方議員が中心になって企画したもの。

●地域の食と農を巡るバスツアー

 県内や近隣府県などから集まった約80人の参加者は、橿原市の近鉄大和八木駅から2台のバスに分乗して、桜井市にある「奈良県立なら食と農の魅力創造国際大学校」と、明日香村の明日香村振興公社が運営する3つの直売所のひとつ「あすか夢販売所」を訪れた。

 「なら食と農の魅力創造国際大学校」は、奈良県が食と農のトップランナーを育成しようと2016年4月の開校に向けて準備を進めている2年制の学校。幅 広い能力を身につけた食のプロフェッショナルを育成するフードクリエイティブ学科と、地域農業の経営者を育成するアグリマネジメント学科からなり、初年度 の募集人数は各20人。校長には全国で高級フランス料理店を展開する「ひらまつ」社長の平松博利氏の就任が予定されている。また敷地内に今年9月からオー プンした「オーベルジュ・ド・ぷれざんす桜井」が併設されており、学校開設後は学生の教育や実習の場として活用される。参加者は国内の調理学校としては他 に例のない充実した調理設備を見学、オーベルジュの小林料理長からの話を聞き、その強い意気込みに感嘆の声をあげていた。

 

 多くの古代遺跡と美しい景観で知られる明日香村では、まず商工会館で明日香村地域振興公社の小林氏から村の取り組みについて話を聞いた、耕作放棄地が 年々増える中で観光資源である景観を守るために、農産物などのオーナー制度や家族ぐるみのプログラム、農家民宿などで都市住民との交流を行ったり、農業の 6次産業化として加工品の開発に力を入れているなど、さまざまな意欲的な取り組みが行われている。その後参加者は、村内3か所に設けられて賑わっている直 売所のひとつ、近鉄飛鳥駅前の「あすか夢販売所」を訪れ、野菜や加工品を買い求めた。

●トークイベント「地域社会の再構築と大和伝統野菜」

 見学ツアーを終えた参加者は、橿原市内のホテルに集合し、トークイベントに臨んだ。

 まず、主催者を代表して党青年委員長の黒岩宇洋衆院議員が歓迎の言葉を述べ、「わが国の農業の1年間の生産額が世界200カ国で何番目くらいか、皆さん ご存知でしょうか。たぶん今、8番目くらい。『150番目とか200番目に近いだろう』とのイメージを持っている方が多いが、実はわが国は農業大国だ。で は輸出額はどうなのか。わが国はわずか3%、2千億円。今現在でも4%です。ドイツやフランスという先進国は5兆円程度の生産額で、わが国よりは少ないの ですが、これが輸出額になると、その8割、9割。即ちチーズとかワインとかソーセージとか高級ハムとか、加工することによって大変な付加価値を生み出すこ とを、世界の先進農業国は行っている」と問題提起。「皆さまとともに学びあいながら、わが国のあるべき農業の姿を、お互いに共有したい」と語った。

 続いて、県内で大和伝統野菜の栽培保存や調査研究活動に取り組み、3軒の農家レストランを営む農業家の三浦雅之さんが「地域社会の再構築と大和伝統野菜」と題して講演。

 農業とは畑違いの身体障害者福祉の研究機関に勤めていた三浦さんは、日本の医療や福祉の制度・法律・テクノロジーを補完する健康な地域や家庭の再構築を 志したときに出会ったのが伝統野菜を作る地域だったと切り出し、「大和伝統野菜」として奈良県が認定している25品目から代表的な物をピックアップして映 像で紹介。「今までは農業の大規模化や効率化を求めてやってきた時代。でも、その効率重視の裏側にある豊かさみたいなものを、多くの方々が今、逆に今楽し もうとしている、求めているという時代がやってきている」と語った。

 そして、20年前から伝統野菜の調査を始めて、その種が守ってこられた理由を尋ねると異口同音に「美味しくて、作りやすいから」との答えが返ってくると して、「この『作りやすい』というのは、気候風土に適しているということだ。「美味しい」というのは、換金性ではなくて、家族や友人などの喜ぶ顔を思い浮 かべて作っている。こういった価値観こそ、情報が山のようにあふれる時代の中で、もう一度食べ物を作っていくために大切にしなければいけない日本の価値観 ではないか」と指摘した。

●馬淵議員との対談

 


 後半では馬淵澄夫衆院議員が聞き手となって三浦さんと対談。大和野菜のおいしい食べ方を訪ねた馬淵議員は、「大和野菜という名前は知っていても、中身は ほとんど知らない方が多い。このブランディング、さらにそれをどうPRするか。地域から何か発信する方法、あるいはどういう形で動かしたらいいか」と質 問。三浦さんは「大和野菜は、年配の方からすると当たり前の野菜。ところが若い方からすると、古くて新しい野菜。食材の魅力の発信には、『京野菜』が一つ の手本になると思う。生産者、大学、料亭、行政、観光業、こういういいスクラムを作っていく必要がある」と答えた。

 さらに馬淵議員が「フランス料理ではテロワール(生育環境)という言葉がある。これを日本に置き換えたとき、この奈良の大和野菜が注目されることになる のではないか」と語ると、三浦さんも「テロワールという言葉は最近奈良でも使われていて、時流のキーワードの一つかなと思う。奈良の食は、今まで大阪や京 都といった大きなところに対して販路を整備して、それが曲がり角に来ている。「大仏商法」とやゆされてきた観光の振興も曲がり角に来ている。全てが曲がり 角に来ているということは、裏返すと、非常に大きなチャンス。もう一度奈良のいろいろな観光資源、食の資源を本当に再編するタイミングなのではないか」と 応じた。

 最後に参加者はグループワークとして「大和野菜をPRするゆるキャラを考える」という課題に取り組み、熱心な議論のあと、グループの代表がそれを発表。 短時間で大きなイラストを描きあげたり、即席の漫才形式でプレゼンテーションをして爆笑を誘うグループもあり、盛り上がって1日の研修を終えた。